Raspberry Pi4でMusic Serverの構築

Raspberry Pi4でMusic Serverの構築

【Music Server構築概要】

 前回、PC(ネットワーク)オーディオを構築しました。
NASに保存した音楽ファイルを、DAC経由のパソコンで再生することで、非常に便利な音楽ライフとなります。

 今一度整理しましょう。
ステレオアンプで鳴らす音楽ソースが、従来のCDプレイヤーやレコードではなく、ストレージに保存した音楽ファイルをパソコンのアプリケーションを使って再生するのが「PCオーディオ」で、前回構築したのはこんな感じです。(Fig1)
つまりパソコン(にインストールされたアプリケーション)が音楽を再生するプレイヤーです。


Fig1:Network Server

 ただ、この場合、パソコンをいちいち起動したり、パソコン設置場所でしかコントロールできません。つまりスマホなどを有効活用することで再生したいファイルを選択し、パソコン内のアプリケーションをコントロールできないかと調べました。

 ※スマホ経由でNASに保存された音楽ファイルを再生したい
 ※アンプとの接続は、既存の外部DAC(HP-A4)を利用したい
 ※音質は落ちるが、A〇zon Prime Musicも聞きたい


【既存環境からの改善】

Fig2:Raspberry Pi4

 上記の既存PCオーディオでは、音楽アプリケーションにfoobar2000(+Wasapi)を利用してますが、それをスマホで操作可能になるコントローラがあるようですが、結局はパソコンを起動しておく必要があります。

 そこで、ボードコンピュータなるRaspberry PiでMusic Serverを構築します。(Fig3)このボードがパソコンの代わりとなり、Music Serverとなるわけです。しかも超安価!で高音質(とのこと)!

Fig3:RaspberryPi

この場合、RasPiは非常に小さいので、置き場所を選らずケーブルも少し高品質ケーブルに交換することもでき、ネットワークも有線にしました。
(注:もちろんRaspiもコンピュータですので電源のON/OFFはあります。)

そしてスマホをMPD(Music Player Demon)クライアントとし、NASに保存された大量の音楽ファイルをRasPiのMusic Server経由で操作します。(Fig4)もちろん、RasPiは外部DAC経由で高級アンプに接続されてますので、高額なネットアークプレイヤーを購入しなくてもいいわけです。


【Raspberry Pi】

 Raspberry Piとはいわゆるボードコンピュータで、¥1万以内の超安価に構築できる優れものです。

 丁度最新ボードがVer4にアップしており、4K動画も再生可能なくらい強化されてます。そして、Music Server構築には2種類あるようです。
 外部DACで接続かI2S接続※1で構築となりますが、今回は既存にある外部DAC(HP-A4)で構築します。

最新のRaspberry Pi4を購入し、ケースや電源も揃えます。

<参考※1>
 I2S(Inter-IC Sound)は、IC間で音楽を送るための規格で、デジタル音楽データとともにそのクロックを送ることで精度の高い伝送が可能。
例えば光伝送のS/P DIFは1本の線でクロックとデータを送るのでどうしてもクロックにジッター(揺らぎ)が乗ってしまい音が悪くなるそうです。ただし誤り訂正はあります。

 I2Sの場合はクロックとともにデータを送っているので(その点での)ジッターの問題はなく、電源も送らないので送り元の電源の影響を最小限にできます。


【Volumioの概要】


ソフトは定番のVolumioをインストールします。もともとハイエンドのオーディオ再生環境に迫る品質があるといわれていました。DebianベースのLinuxディストリビューションであるVolumioでできることは、

・ローカル ( SDカード内 ) の音楽ファイルを再生
・USB接続されたストレージ内の音楽ファイルを再生
・NAS等のファイルサーバ上の音楽ファイルを再生
・ネットラジオの再生(標準装備)
・DLNA 対応・Airplay 対応:iPad, iPhone, PC+iTunes 等で再生している音楽をネットワーク経由でストリーミング再生できます。
・各種ソフトからコントロール可 Webブラウザ、iPad, iPhone, iTunes ( Airplay )、MPDクライアント ( PC, スマホ )、DLNAクライアント ( PC, スマホ, 対応家電 )
・オーディオ出力(上になるほど高音質)
 -I2S接続のDACボードを利用可
 -USB DACを利用可
 -HDMIオーディオ出力可
 -アナログオーディオ出力可


【Volumioの設定】

①パソコンで、microSDカードにインストールしておきます。
②ケースに収納します。RasPi4は高機能になった分、発熱で暴走することがあるらしいので、ケースはアルミケースかファン付きにします。今回は、プラスチックですがファン付きで、1枚づつ、積み重ねていく感じです。
③インストールされたSDカードを差し込んで起動するとセットアップが始まります。
非常にぴったりできており、簡単に構築できます。

④アンプの隅に、外部DACと一緒に設置します。今回、無線は使わず、有線LANとします。どうも無線は音質的に無理ですね。
 パソコンのブラウザ経由で設定し、まずは標準のラジオが視聴できるか音出しします。

完璧!

参考:以前はDAC-AMP間は光ケーブルで接続していたのですが、ある情報では光信号に変換する際にタイムラグが発生しやすいので、音質的にはよくないとのこと。
 従来の高級音楽用RCAケーブルをひっぱり出し、きれいにコネクタも新しく新調して接続します。
 安いCDプレイヤーでは顕著に違いがあったのですが、本DACはあまり変わりないようです。
 光変換がきちんと音楽用に考えられた設計かも(根拠なしですが。。)


【Volumioの不具合】

①さて、Volumioを設定していくのですが、NASが読み込まなく苦労しました。

 接続できない原因は「Volumio2のSMB(Server Message Block)の標準設定がSMB3になったこと」だそうです。

 この問題は、「拡張オプションの表示」ボタンを押して、オプションに「vers=1.0」と記入することで解決します。このネットワークドライブには「SMB Version1」で接続するように明記するわけです。

②次にアルバムアートですが、Volumio2になってから対応したとのことですが、なんとも表示しません。
これにも少し苦労しましたが、結局ほぼ表示しません。
<参考>

*アルバムアートの表示は、まずフォルダーに保存された画像ファイル名の下記と読み込む
 coverart
 albumart
 cover
 Cover
 folder
 Folder
のjpgかpngでダメならネット経由となる。
Volumio設定ーマイミュージックーAlbum Art Settingでネット設定するが、NASのフォルダーは取得された(サーバ)読み取れることが条件。Web Album Art Sizeは画像取得サイズで、スマホならsmallで十分。
で、結局Volumioアプリは使わず後述するMPDクライアントを利用します。

③次はwavファイルが表示されません。NASをたどっていけば再生はするので、Volumio自体は再生対応しています。また、Mp3tagのようなTag編集ソフトで表示させると、きちんとアルバムアートまで情報としては入っています。これはwavファイルが悪いのではなく、ソフト側で情報を引き出せないからだそうです。
まあ、今回の構築ではパソコンを操作しないので、あくまでVolumioアプリは設定用と割り切ります。
また、スマホにはFlacで保存するのですべてFlacにて保存します。


【MPDクライアント】

 これで、パソコン(WebUI)から再生できるのですが、それでは以前のFoobar2000と同じです。
 そこで、スマホをコントローラとなるようにします。
 つまり、音楽用Linux OS VolumioがインストールされたRasPiをMusic Serverとして、スマホをMPDクライアント(Music Player Demon)として操作できるようにします。

 MPDクライアントですが、
AndroidならMPDroid、AppleならyaMPCなどで検索するといくつか出てきます。

 ここで、普段使いはAndroidなのでMPDroidを設定しましたが、動画構築(4K)の時と同じく、音質は落ちるもののAmazon Prime Musicも同じスマホで操作できれば最高です。

 そこで、いまは使ってないiPhone6sを車載用Amazon ビデオ再生機として使ってますが、それだけではもったいないので、今回のMusicも専用コントローラとして設定します。
左のiPhone画面はアルバムアートを表示したところです。

 Amazon Prime Music用アプリをダウンロードし、ログインすると設定画面に「AirPlayに接続」がでてきますので、構築したRasPi(Volumio)が選択できます。
これで、Apple Air経由でAmazon Prime Musicが聞くことも可能となります。

 いやー、なかなかすごい便利です!全部のCDをリッピングしたくなります!
 ただし、PCオーディオだからと音がよくなるわけではありません。
 とにかく利便性と大量のCDを検索できるので、音楽環境がガラッと変わりより身近になります。
 レコード時代はあの大きいジャケットを見ながら、レコード針を落とす時のドキドキはありませんが、いまの時代はネットワークを駆使し、利便性を追求したオーディオもまたいいのでは?
棚にしまってあるCDをぱっと選択できる気持ち良さがあり、再発見されます。ぜひ挑戦してみてください。


yaMPC更新】

<設定画面「MPD Server」>
・Update MPD database: 新たに追加されたファイル、削除されたファイル、更新されたファイルを探し、MPDのデータベースを更新します。音楽ファイルを追加・削除・変更した場合に実行してください。
・Rescan all music files: Update MPD databaseに似ていますが、変更のないファイルも含めて再スキャンします。
・Update thumbnail cache : アルバムのカバーアートをダウンロードし、サムネイル用のキャッシュを作成します。カバーアートを追加した場合に実行してください。既存のカバーアートを変更した場合は、先に下記のClear thumbnail cascheを実行してください。
・Clear thumbnail cache: アルバムのサムネイル用のキャッシュとカバーアートのHTTPキャッシュをすべて削除します。
・Statistical info: バージョン番号やアルバム数などMPDの情報を表示